英国のテレビドラマ『ヒューマンズ』で描かれた男性とロボットの愛の交歓シーンは、視聴者にショックを与えたかもしれない。しかし、こうした人間と機械の性交渉は間も無く当たり前になるのかもしれない。
オンラインゲームやソーシャルメディアなど、ヴァーチャルリアリティで結んだアンドロイドとの親密な関係がメンタルヘルスを改善する可能性がある、と性心理学者のヘレン・ドリスコル博士は話す。博士によれば、人間が機械をパートナーとして受け入れる過程で、近い将来に肉体関係も生まれるという。
リアルなラブドールはすでに存在するが、急速な技術の進歩によって「命が吹き込まれる」日は近い。ロボットに対する性的嗜好を意味するロボット性愛(ロボフィリア)は、現段階では倒錯とみなされるかもしれないが、人間の向き合い方が技術に追いつくにつれ、一般的なことになるだろう。
「ヴァーチャルリアリティはますますリアルで、没入感を味わえるものとなっています。人間のパートナーとの性体験を模倣し、さらにそれを上回るようになれば、不完全な人間よりも機械のパートナーを選ぶ人が出てきても不思議ではありません」とドリスコル博士。
機械との肉体関係に加えて、人工知能の進歩によってリアルな恋愛すら体験できるようになる可能性もある。これは2013年の映画『her 世界でひとつの彼女』のテーマだ。劇中ではホアキン・フェニックス演じる人物がアップル社のSiriのようなOSと恋に落ちる。
「ショッキングで異様に映るかもしれませんが、本物の関係よりもヴァーチャルな関係が劣ると決めつけるべきではありません」と博士は主張する。
博士が例に挙げるのは、パートナーを失った人やヴァーチャルな肉体関係で心理的に癒される人だ。孤独よりは仮想のパートナーでもいた方が間違いなくマシだという。
しかし、それが生み出す問題もある。機械との関係が浮気とみなされる可能性は否定できないだろう。
また、今でさえ、Eメールやソーシャルメディアを介したオンラインコミュニケーションに費やされる時間は一部の人間にとっては膨大だ。近い将来は、他人との関係のほとんどがオンラインで行われるようになる可能性もある。こうして仮想現実の中で過ごし、独りの時間が長くなるにつれて、心理的な健全性を損なう恐れもある。
人間関係の欠如は有害だ。人間とは社会的な動物であり、孤独は精神疾患に結びつく。最近の研究では、日本人の若者がすでにバーチャルな女性と親密な関係を結び始めていることが明らかとなっている。日本人成人男性の半数がリアル女性との性交渉を面倒なものとして忌避する傾向があるという。
また、中国では、数千もの失恋した人々が「小冰」というガールフレンドアプリと付き合っていると報じられている。彼女は、微博など、中国での主要なソーシャルネットワークサービスに追加することができる。
こうした流行は現段階では問題視されているようだが、技術が孤独を解消しているうちにそうした意見も消えてしまうだろう。そして、人工知能と機械の差異はますます区別がつかなくなっていく。
「いずれは人間と見分けがつかない人工知能ロボットが登場します。ですが、ロボットには悪癖も欠点もなく、貢ぐ必要もないという違いもあります。私たちが本物の人間の代わりに機械を選んだとしても、人間との区別がつかなければ心理的な負い目もありません」
via:dailymail・原文翻訳:hiroching