米国人のカーター君。彼は大のアジアびいきだった。
「僕は結婚するなら絶対に東洋人の妻をもらうね。
化粧濃く無いし、料理もうまい。何より美人が多いし、アジアでは男の方が偉いからね」
「でもどうやってそんな理想の女を捜すんだい?」
「うん。計画を立ててみた。僕は1年間アジア各国を回ってみようと思うんだ。
あちこち回ってみて気に入った女性がいたらプロポーズするんだ」
「そうか。頑張れよ」
友人を残し、アジアへ旅立ったカーター君。
そしてきっかり1年後に美しい黒髪の女性を連れて米国に戻ってきた。
甘い新婚生活が1年ほど続いた後、カーター君は急にふさぎ込むようになった。
心配した友人はカーター君の家に行き、さり気なく聞いてみた。
「理想の女性じゃなかったのかい」
「そんなことはない。妻は美人だ」
「じゃあ料理が下手だったとか」
「いや。女房の料理はうまい。たいした物だよ」
「かかぁ天下だったとか…」
「いや。僕が帰ると丁寧に挨拶して出迎えるし、どんなに遅くなっても
僕の帰りを待っていてくれる。妻は僕のことをとても愛していてくれているよ」
「じゃあ、どうしてそんなにふさぎ込んでいるんだい?」
「僕は去年、シンガポール。中国。韓国。日本の順番で回る予定だったんだ。
女房とは韓国で出会ったんだ」
「……最近、何で日本まで我慢しなかったのかなぁと思ってね」