東南アジア研究所(シンガポール)のマルコム・クック上級研究員に聞く
フィリピン大統領選で勝利したダバオ市長のロドリゴ・ドゥテルテ氏が、暴言で物議を醸しながら、他候補よりも優位に立てたのは、3つの理由による。
まずフィリピンでは、現状の政治、経済、社会へのいらだちが募っており、状況の変革へ、既存の国政エリート以外の指導者が求められた。ドゥテルテ氏は、大票田でもあるミンダナオ島が地盤で、マニラの特権階級である他候補と違い、大衆が理解し反応できる言葉で直接語りかけた。暴言へのエリート層や海外からの批判も、彼に「アウトサイダー」の装いを与えた。
その姿は、米大統領選で共和党候補指名が確実となったトランプ氏とその支持者に、一部で重なりあう。
次に、ドゥテルテ氏は、(国政で目立った成果がないとの指摘も出ていた)ライバル候補のグレース・ポー上院議員と違い、ダバオ市長として22年間の実績を誇る。市長として達成した犯罪抑止や治安と投資の向上を、全国規模で、特に行き詰まり混乱しているマニラ首都圏で再現してくれることへの期待がある。
第3に、ドゥテルテ氏はメディアをうまく駆使した。(暴言などで)注目を浴び、他候補は彼のキャンペーンに反応することに終始させられた。これもまた、米国のトランプ旋風と似通った現象だ。
一方、副大統領選では、父が長期独裁政権を敷いたフェルディナンド・マルコス上院議員が健闘している。フィリピンでは、「家族」が強固な社会単位であり、政治的にも家族を利することが悪や腐敗とみられない風潮がある。(マルコス独裁政権の反省として生まれた)大統領の再選禁止などから政党政治が脆弱(ぜいじゃく)となり、政治的や野心が党以外に向かう。家族の政治支配が、唯一実績のある代替手段だ。(談)
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