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鏡の無い国

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鏡の無い国

 昔、四国の松山在松山村、ここ一ケ村には、鏡と言うものがございませんで、この鏡の 無い国の連中が団体を組みまして、江戸見物、観音様をお参りいたしまして、仲見世へ、 するとここに一軒の鏡屋さんがございまして、連中、鏡と言うものを見た事ございません から。

田吾作「権佐衛門さーん、われ、そこへ立ってみろ、あっれぇ、われが姿、ここへ写ってるだよ、不思議なこつ、あるもんだ、こりゃきっと観音様の御利益に違いない。」
なんてんで、鏡を拝んだってぇます。
そのまま、国へ帰りまして、また翌年団体を組んで江戸見物、ところが、その一年の間 に、あいにく鏡屋さんが引っ越しをいたまして、その後へ、琴ですとか、三味線を教える 「琴・三味線の指南所」と変わっておりました、連中はそんな事知りませんから。
権平「権佐衛門さーん、どこだね、その姿ぁ見せるっちゅのは。」
権佐衛門「なんでもはぁ、おら、この辺だと思ったが、あ、こりゃいかねぇ、来年まで待たねばだめだ。」
権平「どうして来年まで待たねばだめだ。」
権佐衛門「どうしてって、ここに書いてあるから、しょうがあんめぇに、琴三味線(今年 ゃ見せん)としてある。」
権平「あれ、それ、弱ったでねぇかい、おらがかか様、あんべぇ悪いっちゅだで、かか様 おっ死ぬ前に、もう一度あれ見て、観音様の御利益、仰ぐべぇと思っただが、かか様来年まで、おっ死なねぇだろうか。」
権佐衛門「あーあ、心配ぶつもんでねぇ、そばに指南所(死なんじょ)としてある。」

 

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